写真はイメージです。内容とはあまり関係ありません。
校庭で。矢印が私。
5年生のときの出来事で書き忘れてはならないことがあった。それは、たぶん他の小学校でも共通の出来事だと思う。私たち望洋小学校では、昭和51年のたしか夏ごろにあの出来事はあった。
ある日、担任の高梨麗子先生が
「今日はこれから、女子だけ、部屋を移って映画を見ます。男子はその時間、校庭で自由に遊ぶ時間になります」
というような内容のことをクラスの皆に伝えた。その時、私たち女子たちは何故だか(あ、あの内容を見るのかな?)という想像がついたように記憶している。
男子たちは「やったぁー」などと叫びながら、校庭に出て行った。隣の2組の担任の先生は角田昭雄先生(仮名)という当時40代の男の先生だったので、1組2組両方の男子を引き連れて校庭に出て行った。
私たち女子は、その後別な教室へ移った。教室は黒いカーテンで遮光され真っ暗だった。カーテンの端をちょっとつまんで外を見ると、男子たちが元気にドッジボールをやっている光景が見えた。
遮光された暗い部屋には、1組の女子の他に、2組の女子たちも全員いた。奥田さん、朝美さん、マコちゃん、オチャ、香澄ちゃんたちも座っていた。そして高梨先生の他に、保健室の山本節子先生(仮名)がいた
最初にたしか山本先生から何か説明があって、その映画は始まった。30分程度の内容だったと思う。女の子がだんだんと大人になってくると体に起こる変化のことや、妊娠、出産のこともあったように記憶している。知っていたこともあったし、知らないこともあった。
教育的映画だから、あまり楽しいものではなかったけれど、私たちは興味津々で静かに最後まで見ていた。
映画が終わると、高梨先生から補足説明などがあった。「もし何かわからないことがあったら、遠慮なく私や山本先生に相談してください」というようなことだったと思う。
5年1組の教室に帰って、しばらくすると男子たちが校庭から帰ってきた。男子たちと顔を合わせるのが何となく恥ずかしかった。私たち女子が何の映画を見たのか、男子たちは知っていたのだろうか。
学校が終わり、下校はいつもと同じようにちっちゃんと一緒だった。
「なんか、びっくりしたねぇ」
「うん、ちょっとドキドキしたねぇ」
などと感想を述べ合いながら並んで歩いた。
昭和のあの頃、日本のどこの小学校でも同じような時間があったと思う。今は内容もずいぶん変わった。もっと低学年でDV防止や人権も含めた教育があったり、男子も一緒に見るようになったとも聞く。
時代や内容は変わっても、大事な教育の時間であり、私にとっても忘れがたい記憶の1つである。