いとこのお兄さん、お姉さんを独占してご満悦な弟。
用賀にて。
マコちゃんは、またこれからの話の中でちょくちょく登場すると思う。今回は錦糸町編でよく登場した、弟のことを書きたいと思う。
三歳下の弟は、引っ越しをして望洋小学校の1年生として入学した。担任の森屋まさ枝先生(仮名)は、当時新婚の26歳。ご主人は中学校でバスケットの顧問もやっている体育の先生だった。
赤ちゃんの時から愛想がよく、年上の女性にモテモテの弟は、森屋先生にも可愛がられ、毎日楽しい小学校生活を送っていたようである。
その頃、放課後に6年生の生徒が1年生の生徒と遊んであげたり、めんどうをみてあげる時間のようなものがあった。校庭で6年生と遊ぶ弟たちを何度か見かけたことがある。登校や下校も行動を共にし、安全を確保するという目的もあったと思う。
弟は6年生のお姉さんたちともすぐ仲良くなった。特に同じ団地に住んでいた中原典子ちゃん(仮名)とは仲良くなって、弟の話にもよく「典子ちゃん」の名前は登場していた。典子ちゃんはおしゃれで、少したれた目がかわいく、アイドルのような雰囲気を持っていた。4年生の私から見ると、もう大人のお姉さんという感じで、あこがれの存在の一人だった。
ある日の朝のこと。私は弟よりも早く家を出て小学校に向かった。弟はまだ支度ができておらず、出発までは時間がかかりそうだった。
私はいつも通りにちっちゃんやマコちゃんたちと一緒に、家から30分、途中に急な坂道の続く通学路を一生懸命歩いて小学校を目指した。
その日は途中から雨も降ってきた。傘は持っていたけれど坂道のあたりになると雨は強くなり、やっと学校に着いた時は、元気な私たちでさえも疲労困憊という感じだった。
校舎に入ったところで、濡れた服をタオルで拭きながら、ふと1年生の教室を見ると、私よりも後に家を出たはずの弟が、涼しい顔をしてこちらを見ていた。服は全く濡れたようには見えなかった。
(あれっ、おかしいなぁ、どうしてこんな早く学校に着いているんだろう)
家に帰ってから母に「今朝、こんなことがあって…」
と弟の話をしたら、母も
「おかしいわねえ、としこよりもかなり遅く、家を出て行ったのに」
と理由が全くわからないようだった。その後、母が弟に聞いてみると、何と弟は典子ちゃんと一緒に京急の路線バスで通学をしていたことがわかった。その日だけだったか、毎日だったのかは覚えていないが、母も私も、弟の人懐っこさというか、年上の女性とすぐ仲良くなるキャラクターには笑ってしまった。
弟は、私と違ってとても要領がよく、家で勉強を全くしなくても、1年生の1学期からずっと成績はオールAだった。スポーツもできたし、リーダー的存在で、女の子にもモテていた。1年生の時は毎日楽しい小学校生活を送っていたと思う。
しかし「調子に乗っていると後で痛い目にあう」と、私の担任のS先生も言っていたように、2年生の時に悲劇が訪れる。何と担任がS先生になってしまうのである。以前書いたように、弟みたいなタイプに対してS先生は最も厳しく接するので、まさしく悲劇だった。
その件は、もう少し先、私が5年生になる話になったら詳しく書きたいと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿