修学旅行で。
左端の赤いカーディガンが私。
サワこと沢井美紀子さん(仮名)は、5年生の時に引っ越してきた女の子で、6年生に上がる時はクラス替えがなかったので、2年間同じクラスで過ごした一人だった。
彼女はクラスで一番背が高く、雰囲気も大人な感じの「頼れるお姉さん」というタイプだった(上の写真で中心にいるのがサワ)。
私とサワ、どちらが先に真二君のファンになったかは覚えていないが、私たちは小学校6年の秋ごろから、しょっちゅう真二君の話ばかりしているミーハーな女子になっていた。
「サワ、昨日のザ・ベストテン、見たあ?」
「見た見た! 黒柳徹子さんったら真二君のこと、かわいいかわいいって言いすぎだよねぇ、もう」
などど、どうでもいいことを朝からペチャクチャしゃべっている毎日だった。
サワは私よりも激しい真二君ファンだったかもしれない、そう思う根拠が小学校の卒業写真に残っている。
この写真のちょうど真ん中、後から2列目に赤いネクタイの背の高い女の子が写っている。これがサワなのだが、写真を拡大すると、サワの胸ポケットのあたりに、何やら黒いものが写っている。
実はこれ、真二君のブロマイドなのである。カーリーヘアが四角い写真いっぱいに写っている。この写真を撮る前、サワは左ポケットに真二君のブロマイドを隠し持っているのを私に見せてくれた。
「シャッターが降りる瞬間に、この写真をポケットから出す作戦なの」
とサワはいたずらっぽく笑っていた。
「わぁー、面白い! やってやって!」
私たちははしゃぎながら撮影に臨み、そして真二君はしっかりと私たちの卒業写真に写り込んでくれた。
ブログにはあえて精度を落として掲載しているが、実物の写真ではかなり鮮明に真二君の顔がわかる仕上がりになっている。サワと私は大喜びだった。
中学1年生でも、偶然サワと私は同じクラスになり、真二君ファン活動は続いた。途中から二人とも松山千春のファンにもなり、「オールナイトニッポン」を聴いて、翌朝感想を言い合ったりして楽しんでいた。
たぶん誰か芸能人のファンになったことがある人にはわかると思うけれど、私たちは、友達同士で共通の話題で騒いだり、仲良くしたりすることが楽しかったのではないかと思う。もちろん真二君や松山千春のことは好きだったけれど…。
まだ実物の男の子に恋をする前の、12~3歳の女の子にありがちな日々であった。
卒業写真が登場しましたが、あと4~5回くらいくらい、このエッセイは続く予定です。
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