小学校に入った頃。
自由が丘のおばあちゃんの家の前で。いとこたちと。
前列右端が私。服は母の手作り。
錦糸小学校1年3組のクラスメイトに、斉田和美ちゃん(仮名)という女の子がいて、私たちは「さいちゃん」と呼んでいた。さいちゃんの家は「ドリーム」というバーを経営していて、店舗は錦糸堀公園の横にあった。うちからも近いのでよく遊びに行っていた。
昼間はドリームの店舗内にも入って遊ぶことができた。印象に残っているのは、壁が淡い紫色で、クッションのようにふかふかしていたこと。壁には上の方まで規則的にきれいな宝石が埋め込まれていた。私は「すごい豪華だねぇ」と言いながら、宝石をさわったり、数を数えたり、壁に寄っかかって弾力を楽しんだりした。
テーブルも大理石でできていて豪華だった。私たちはその豪華なテーブルの上に教科書とノートを広げ、宿題を片づけたりすることもあった。薄暗い照明は勉強には適していなかったかもしれないけれど、異次元の世界はワクワク楽しいので、宿題ははかどった気がする。
さいちゃんは、私や他の同級生よりもちょっと大人びて色っぽい感じの女の子だった。目鼻立ちもはっきりとしていて、お母さんにそっくりだった。店舗で遊んでいる時、さいちゃんのお母さんがよく開店の準備をしていた。業者さんが届けてくれる食材を受け取って、それをカウンターに並べたりしていた。
2年生になってからもさいちゃんとは同じクラスで仲良しだった。さいちゃんは冬に1週間ぐらい学校を休み、学校に出てきた時「インドネシアに家族と旅行してきたの」と言って、バリ島の絵ハガキを2枚、お土産にくれた。小学生が外国に旅行に行くなんてすごいなぁ。私はさいちゃんを尊敬のまなざしで眺めた。
先日、グーグルでドリームがあった場所を確認したら、すでに店舗はなくなっていて、そこには大きな雑居ビルが建っていた。さいちゃんは今どうしているかなぁ。きっとキラキラした世界の、素敵な大人になっているのではないかと思う。
先日、グーグルでドリームがあった場所を確認したら、すでに店舗はなくなっていて、そこには大きな雑居ビルが建っていた。さいちゃんは今どうしているかなぁ。きっとキラキラした世界の、素敵な大人になっているのではないかと思う。
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